卒業35年後の中学同窓会でのIT利用
1979年3月に地方都市の公立中学校を卒業して35年。初めて学年全体267人を対象とする同窓会を開催することになった。その準備(20名の幹事が幹事会を構成し、幹事会が同窓生名簿の整備をし、同窓会開催を通知し、出欠をとる)とフォロー(主に写真の共有)を今風にやろうと思い、考え・試行錯誤した結果を書いておく。これは、1回の同窓会のためではなく、何回もの同窓会で継続して使うことを意図している。なお、「同窓生」とは一般には在籍年によらず同じ学校に在籍した人をさすが、ここでは在籍中に同じ学年だった人のみを指している。
どんなサービスをどんな目的で使うか
以下のサービスを使うことにした。
Google Groups
Google Drive(スプレッドシート、ドキュメント)
Google+ (コミュニティー機能)
Googleありきで考えたわけではないのだが、自分の知識と同窓生の状況からこうなった。例えば多くの同窓生がFacebookを使っていたり、自分がFacebookに詳しかったらFacebookを中心に据えたかも知れない。ちなみに、私が通常使っているのはGmailである。
具体的には各サービスを以下のように使う。
幹事会のGoogle Groupを作り、幹事全員への連絡は、そのグループへメールを送ることで行なう。
同窓生全体が対象だが非携帯メールのアドレスのみを登録するGoogle Groupを作り、同窓会の連絡の一助とする。
同窓生名簿はGoogle Drive上の1つのスプレッドシートとし、それを幹事で手分けして埋めていく。
幹事会で話し合った内容や決定事項はGoogle Drive上のドキュメントとして保存する。
それらスプレッドシートやドキュメントを入れる場所として幹事会フォルダーを作り、それを幹事会のGoogle Groupのメンバーだけが見えるようにする。
Google+で非公開招待制の同窓生コミュニティーを作り、そこで同窓会の写真を共有する。
同窓生のネット利用状況
個人で普段使っている「メール」は大多数の同窓生にとって携帯メールである
非スマートフォン利用者は現時点ではまだ多く、考慮する必要がある
パソコンを個人では日常的に使っていない人が多く、考慮する必要がある。ただし、幹事のほとんどはパソコンでの作業に支障はない
Facebookを使っている人は多くない
携帯メールの呪縛
携帯メールへの送信では以下の点に留意する必要がある。
非携帯メールを受信拒否する設定になっている人が比較的少数だが無視できない数存在する。多くの場合、非携帯メールから送ると不達となるが、中には、不達にはならず、それでも実際には届いていない場合がある。
非携帯メールでも受け取るが、HTMLメールが迷惑メールに分類されてしまう場合がある。そのため、連絡メールはプレーンテキストで送る必要がある。
ドコモとauは@の直前に.がある、規格外のメールアドレス(例えば abc.@docomo.ne.jp)を認めている。こういうアドレスはGoogle Groupに登録できない
最初は、同窓生全体への通知は、Google Groupを基本とし、一部の人に個別に送ればいいと思っていたが、上記の携帯メールの性質上、携帯メールに確実に届けるには、携帯メールアドレスから、個別に送らざるを得ない。幸い @i.softbank.jp のメールアドレス(=SoftbankのiPhoneのメールアプリ用のアドレス)は携帯メールアドレスと見なされる。そして、@i.softbank.jp はIMAPなので、パソコンのメールソフトで読み書きができる。そこで、以下を併用することとなっt。
Google Group(非携帯メールアドレス)に対してGmailから送る
携帯メールアドレスをBccに列挙しToには自分のアドレスを書いて @i.softbank.jp から送る
メールアドレス収集の憂鬱
携帯メールアドレスは呪文か暗号のようになっている人が多い。それを手書きで伝えてもらうとかなりの割合で間違う。本人がそもそも間違って書いてしまうこともある。そこで、本人からメールを送ってもらってその差出人アドレスを見るか、既にメールをやりとりしている人からメールで(転記ミスが発生しないよう)知らせてもらう必要がある。
集まったメールアドレスは、面倒でも、ひとつずつ確認するのが無難である。一度にそう沢山は集まらないので、それほど大変ではない。全体ではかなりの手間がかかることになるのだけれど、それが何週間とか何ヶ月かに渡ればそれほど大変には感じない。集まったメールに対してテストメールを送ってみることで、アドレスが間違っていないか、非携帯メールも受け付けているか、を確実に確かめることができる。
同窓生Google Groupへの登録
非携帯メールのアドレスは、同窓生のGoogle Groupに登録する。登録したアドレスには登録を知らせるメールが自動送信され、それが受け付けられるかどうか(bounceしないかどうか)でアドレスの確認ができるように思ったが、登録時にはbounceしないが間違っていた、あるいは、非携帯メールを受け付けていない例がいくつかあった。
Google Groupsの「直接登録」の機能は、1度に10アドレスまでしか登録できないが、メールアドレスが分かるたびに登録を行なっていればそれほど困らない。
注意すべきは、Google Groupsから送信される以下の登録通知である。
From: "自分のGoogle IDの@の前 (Google Groups)" <noreply@googlegroups.com>
To: 登録されたメールアドレス
Subject: Google Groups: You've been added to グループ名
Reply-To: 自分のGoogle ID
登録時に入力したメッセージ
About this group:
グループの説明
The owner of the group has set your subscription type as "Email", meaning that you'll receive a copy of every message posted to the group as they are posted.
グループのページへのリンク
私はいろいろな設定を英語にしているためか、当該Google Groupの言語を日本語にしても、登録通知は英語になっている。まあ、それはいい。問題はこのメールの最後にあるリンクで、そのリンクを開くことを勧めているようにも見える。そのリンクを開くとGoogle IDの入力を求められ、Google IDを持たない人が意図せずに新たな @gmail.com のメールアドレスを取得し、そのアドレスで当該のグループへの参加を申し込む形になることが起こる。そういう誤解を減らすために、登録時に入力するメッセージでメールの最後のリンクを開く必要がないことを言及するべきである。
Bccにアドレスを列挙して送る際の注意点
案内に返信していない人には再度・再々度の案内を送ることになり、その場合、携帯メール、非携帯メールともに、Bccにアドレスを列挙して送ることになる。その際の注意点を列挙する。
Toに送信元アドレスを書いておく。Toがないと迷惑メールと判定されてしまう場合がある。
@のすぐ左にピリオドがある携帯メールアドレスに対して(規格上は許されていない)、メールソフトやSMTPサーバーが変な振る舞いをすることがあるので、それ以外のアドレスとは分けて扱って、変な振る舞いの影響を最小限にとどめる。
Bccで列挙するアドレスの最後に自分のアドレスを書いておき、そのメールの配信が意図通り行なわれたことを確かめる。上記1でToには送信元アドレスを書いているので、Bccに書くのは、それ以外の自分のアドレスとなる。具体的にはGmailから出すときは @i.softbank.jp の自分のアドレス、 @i.softbank.jp から出すときはGmailのアドレスとする。
Google Driveの共有フォルダーの落とし穴
新たなメンバーを幹事会Google Groupに加えたあとで http://drive.google.com を見てもらっても、幹事会フォルダーが見えない。幹事会フォルダーのURLを新たなメンバーにメールで送り、そのURLを新たなメンバーが開き、「フォルダーに追加する」をクリックと、「マイフォルダー」に現れる。
Internet Explorerの呪縛
同窓生名簿を手分けしてで埋めていくには幹事が各自Googleスプレッドシートを操作することになる。ところでGoogleスプレッドシートは主要ウェブブラウザーの最新版とその一世代前でのみ動作を保証されている。執筆時点でInternet Explorer(IE)の最新版は11で、それと一世代前の10しかサポート対象ではない。Windows XPではIE8までしか使えないので、XPを使っている人にはGoogle Chromeをインストールして使ってもらうことになる。FirefoxやSafariも使えるがChromeが無難であろう。IE11やIE10がサポートされている版のWindowsでも何らかの事情でより古い版が入っていることがあり、そういう場合もChromeをインストールしてもらうことになる。
Google+のコミュニティーの落とし穴
少なくとも非公開招待制コミュニティーの場合、コミュニティーへの招待を送っても送られた側には招待が見えない。招待が見えるためには、招待主が自分のサークルのどれかに入っている必要がある。招待が送られた後で招待主をサークリに入れてもよい。招待を受諾すればそのコミュニティーが見えるようになる。
プレ同窓会の効用
卒業後長期間経ってから大人数の同窓生の連絡先を調べるのはかなりの作業量になる。そこで、簡単に集まれる範囲でプレ同窓会を行い、その参加者から幹事を募るのは有効だと感じた。プレ同窓会で幹事会活動に勢いが付いたと私は思う。更に、プレ同窓会の写真をGoogle+で共有することは、本番同窓会での写真共有に向けての良い準備になる。
実験用ID
自分の本来のIDとは別に実験用IDを取得しておくとサービスについて調べるのに便利である。また、他の幹事から報告された状況を再現するためにも実験用IDは必要である。
Google+のアルバムをGoogle Groupで共有するのではだめか
最初はGoogle+でアルバムを作って、それを同窓生のGoogle Groupで共有すればいいのではないかと思った。それも一応可能だが、アルバムが加わるごとにアルバムのURLを知らせる必要がある。そのためにアルバムのURLが列挙してある同窓生だけが見える場所を用意しなければならない。Google Sitesでそれは可能だが、スマートとは言えない。Google+の非公開招待制コミュニティーなら同窓生だけでの写真の共有を自然に実現できる。ただし、同窓生Google+コミュニティーと同窓生Google Groupの両方を管理しなければならない。
写真共有に関してGoogle+がFacebookに勝ると思われる点
2014年1月の時点では、Facebookには1辺2000画素(2048かも)を超える写真は置けないようだ。置こうとすると縮小される。それに対してGoogle+はデフォルトではFacebook同様縮小されるが、設定をすればそのまま置ける。ただし、1辺2000画素以下の写真は自分の記憶容量割当を消費しないのに対して、2000画素を超える写真は消費する。
アルバム全体のダウンロードはGoogle+でもFacebookでも可能だが、Google+は極自然にできるのに対して、Facebookではその操作が若干煩雑な気がする。これは私がFacebookに詳しくないことにも起因しているが、私のGoogle+の知識はたぶんFacebookの知識より更に少ないとも思う。